アトラクションデイズ

  なんでとか、そんなの関係無い。ただ君が、笑うだけだから。
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2009.03.16  <<19:11



とっておきの場所で空を仰いで
その空はいつもより少しばかり晴れ渡っていて
涙なんか似合わない心地にしてくれた。

だけど、
にゃあという猫の鳴き声が聞こえて、
俺は急に予定を変更させられた。


より純情より過剰


コンクリートの上を裸足で歩くのは意外に難しく、慣れるまでジッとしていた。
慣れてくると足の裏からコンクリートの温度が伝わってきて
それはまるで死人のように冷たく固まっていて、込み上げる感情はただ、虚しい、という感情だった。
フェンスの向こう側に広がる世界は、つい先日まで自分も居た場所で
夜だという事に関わらず、忙しなく目線の下を歩く人々を眺めては苦笑を零した。
別に軽蔑している訳ではない。寧ろ尊敬している。
そういうものに私はなりたい、何て叫びながら生きてきたから。

コンクリートと同じく、冷たく固いフェンスに指を絡めた。
そしてガッシャガッシャと冷たい音を立ててフェンスをよじ登る。
裸足だから、フェンスに足をかけるのは痛い。でも我慢して登る。一番上まで登る。
一番上まで登っても、足の痛みは消えなくて
ふ、と見下ろすと、真っ白な足から一筋、赤い血がしたたり落ちていた。
ああ怪我しちゃっちゃんだ、とまた苦笑を零す。それはもう他人事のような笑みを。
ぽた、ぽた、と血は白いコンクリートの上に落ちていく。
今は未だ暖かいこの血も、もう後何秒かすればこのコンクリートやフェンスと同じく
冷たく固くなって、雨でも降ればあっという間に流れていってしまうだろう。

「あ、星だ」

下から上へ、顔を上げてぽつりと呟いた。
空にはわずかだが、星が輝いていた。その光は弱々しいけど、ちゃんとこの瞳に映っていた。
都会でも星って見えるんだ、と思いながらそれをぼんやりと眺めていた。
そして、初めてこの場所に来たときは酷かったな、と昔の事を思い出し始める。

あの日はどしゃ降りの雨の日で、傘も差さずにうろついていた。
ざぁざぁ、というよりバシャバシャと強い音が耳の直ぐ近くで聞こえていて
まるで滝に打たれるようだった。
その中を一人びしょ濡れになりながらとぼとぼと歩いて、辿り着いたのがこの廃墟の屋上だった。
屋上は雨をもっと近くに感じれて、悲しいような嬉しいような何だか複雑な気分だった。

それは今も変わらない。複雑な気分。
一つだけ分かるのは、ただ虚しいというだけ。
あの頃と今と、何か変わった事があるのだろうか。

ああ、あった一つだけ。
あの頃と比べて、今は少しばかり汚くなった。


「にゃあ」


次の瞬間、急に自分ではない別の声が聞こえた。
ぼーっとまるで別の世界に行っていたかのように空を見ていて、急に聞こえた声だからびっくりした。
振り返るとそこには一匹の茶色い猫がこちらを見て、にゃぁ、と甘えるような声で鳴いていた。
猫だ、とそれだけ思った。別に可愛いとか、触りたいとかそんな事は一切思わず。
ただ、猫か、とそれだけ。

「ナツー、どこいったぁー?」

次に聞こえてきたのは、猫でも自分でもないまた違う声。
今度もびっくりして、え、と小声を零してしまった。
声は足音共にどんどんこちらに近付いてくる。
知らない声、だけどナツ、という名前は知っていた。

「あ、いたーこんなとこに・・・・・い、た?」

真っ暗な闇から出て来たのは、知らない男だった。
向こうもびっくりしたように目を見開いてこちらを見ていた。
そして同じようにこちらも相手を見た。
にゃあ、猫だけがそう鳴いてその男の元へ走っていった。
暫くの沈黙の後、聞こえてきたのは。

「にゃあ」

やっぱり、猫の鳴き声だった。



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No.13 猫より純情、空より過剰 1 / 連載 / Comment*0 // PageTop▲

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魔月 霰

Author:魔月 霰
ヲタクで腐女子、萌えない黒髪眼鏡。
真面目そうな顔してて頭の中は超腐ってます。
一応十代だが年より老けてると言われる。

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